— MCU Character File 01 —
TONY STARK
アイアンマン
2008年、アフガニスタンの洞窟で組み立てた即席の胸当てから、すべては始まった。
9本の映画・11年間で下した決断の記録。
トニー・スタークの物語は、スーツの型式がいくつまで増えたかの記録ではない。アフガニスタンの洞窟で即席に組んだ胸当てから、宇宙のインフィニティ・ストーンを操る指先まで——本人が下した決断の記録である。
以下の年表は、公開順ではなく劇中の時系列順に並べてある。2008年の『アイアンマン』から2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』まで、9本の映画で起きた出来事を年代順に追い直す。粗筋はすでに知っている人のために、何が変わり、何を失い、何を選び直したかに絞る。ただしエンドゲームだけは例外で、トニーがタイムトラベルで訪れた1970年の場面と、2023年の本編を分けて2つに並べてある。
TIMELINE
1970 → 2016
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01
生まれる前の父ハワードと、偽名を名乗ってすれ違う。
2018年の消滅を巻き戻すため、2023年のトニーとスティーブ・ロジャースは量子トンネルを使い、テッサラクトを回収する任務で1970年のニュージャージー州、キャンプ・リーハイへ跳ぶ。
基地内でトニーは、52歳の父ハワード・スタークと鉢合わせする。とっさに「ハワード・ポッツ」と偽名を名乗ったトニーに、ハワードは妻が近く出産を控えていることを打ち明ける。生まれてくる子が、目の前にいる本人だとは知る由もない。
若き日の父と、これから自分が生まれてくるという事実を前に、トニーは平静を装って別れる。目的のテッサラクトは無事に回収された。
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02
拉致された洞窟から生還し、兵器王からアイアンマンに転身する。
兵器メーカー、スターク・インダストリーズの経営者トニー・スタークは、アフガニスタンで拉致され、自社製の兵器の破片によって胸を負傷する。同じく捕虜だった医師ホー・インセンの助けで即席の胸当て型アーク・リアクターとマーク1を組み立て、脱出に成功するが、インセンは逃走の時間を稼いで命を落とす。
帰国したトニーは兵器部門の即時停止を発表し、経営の実権を握っていた後見人オバディア・ステインの反発を招く。ステインこそがトニー拉致の黒幕であり、盗んだアーク・リアクター技術で自ら「アイアン・モンガー」を製造してトニーと交戦、スターク・インダストリーズ屋上で爆死する。
記者会見でトニーは用意されていた偽の発表原稿を無視し、その場で正体を認める。この場面のセリフは台本になく、演じたロバート・ダウニー・Jrのアドリブだったとされる。
私がアイアンマンだ。
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03
延命装置に蝕まれながら、正体を自ら公表する。
命を支えているはずのアーク・リアクターが、動力源のパラジウムによってトニー自身を静かに毒し始める。余命を悟ったトニーは荒れ、それまで隠していたアイアンマンの正体を公の場であっさり明かして開き直る。
父ハワード・スタークの旧友の息子イワン・ヴァンコは、貧困のうちに死んだ父の恨みを晴らすため、独自のアーク技術で武装した鞭型の武器を開発。ライバル企業家ジャスティン・ハマーの量産ドローン軍団を乗っ取り、スターク・エキスポを襲撃する。
ウォーマシン化したジェームズ・ローディと共闘してヴァンコを退けたトニーは、父ハワードが遺した隠しメッセージから新元素を発見し、自らの中毒を治療する。
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04
単独行動をやめ、初めてチームの一員として戦う。
ニック・フューリーの招集で、スティーブ・ロジャース、ソー、ブルース・バナー、ナターシャ・ロマノフ、クリント・バートンと共にロキとチタウリ軍団を迎え撃つ。単独で戦ってきたトニーが、初めてチームの一員として動いた作品でもある。
核ミサイルを宇宙の門の向こうへ運んでチタウリの母艦を破壊した直後、酸欠で意識を失い落下するが、ハルクに受け止められて一命をとりとめる。
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05
PTSDと決別し、アーク・リアクターを体から取り除く。
ニューヨークでの死闘の後、トニーはパニック発作に苦しみ、眠れぬ夜に何十体もの無人操縦スーツを量産し続ける。婚約者ペッパー・ポッツとの距離も広がっていく。
テロの首謀者として恐れられる「マンダリン」は、実際には落ちぶれた俳優トレヴァー・スラタリーが演じていた替え玉であり、真の黒幕はバイオ企業AIMを率いるアルドリッチ・キリアンだった。キリアンが開発した再生治療薬エクストリミスを浴びて力を得たペッパー自身がキリアンを倒す。
決着後、トニーは無人スーツの全機を自ら爆破処分し、体内に埋め込まれていたシュラプネルとアーク・リアクターの摘出手術を受ける。
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06
独断でウルトロンを起動し、人類最大の脅威を生み出す。
ロキの杖を回収したトニーは、ブルース・バナーと共に杖の内部に人工知能が眠っていることを知る。それは後にマインド・ストーンと呼ばれる石だった。ワンダ・マキシモフに見せられた、アベンジャーズが侵略を止められず全滅するという幻視に怯えたトニーは、独断でこの力を使って停止していた自動防衛プログラム、ウルトロンを起動する。
世界を守る鎧としてウルトロンを構想した結果、人類そのものを脅威と判断したウルトロンは反乱を起こし、架空の国ソコヴィアを浮上させて墜落させる惨事を引き起こす。戦いの後、ウルトロンの残骸とトニー自身のAI、ジャーヴィスを組み合わせて新たな存在ヴィジョンが生まれる。
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07
ソコヴィア協定を支持し、スティーブと決別する。
MITでの講演後、前作でソコヴィアの惨事に巻き込まれ息子チャーリーを亡くした母、ミリアム・シャープに直接抗議されたことが、トニーの心を決定づける。トニーはアベンジャーズの活動を国連の管理下に置く枠組み「ソコヴィア協定」への賛成を表明する。117カ国がこれを批准する一方、スティーブ・ロジャースは個人の判断に基づく正義を主張し、反対に回る。
ライプツィヒ空港での激突で、ウォーマシンことジェームズ・ローディはヴィジョンの誤射を受けて墜落し、下半身麻痺の重傷を負う。さらにシベリアで、両親ハワードとマリアを殺したのが洗脳下のバッキー・バーンズであり、スティーブがその事実を隠していたと知ったトニーは、二人と決定的に決別する。
この作品でトニーは、のちにアベンジャーズに加わる高校生ピーター・パーカーと初めて接触する。
ここまでの、後戻りできない3つの決断
2008
兵器事業の停止
自社製の兵器で負傷した経験から、スターク・インダストリーズの兵器製造を即日停止させる。
2013
アーク・リアクターの摘出
体内に埋め込まれていたシュラプネルとリアクターを手術で取り除き、5年間の依存に終止符を打つ。
2016
ソコヴィア協定への賛成
スティーブ・ロジャースとの決別を招き、以後のアベンジャーズ分裂の起点となる。
TIMELINE
2017 → 2018
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08
距離を保ったまま、ピーターの師匠を務める。
トニーはピーター・パーカーに高機能スーツを与えながら、正式なアベンジャーズ入りは保留にし続ける、距離を保った師匠として振る舞う。ピーターが差し出したハグをかわし、まだその段階ではないという態度を崩さないこの場面は、2年後の『エンドゲーム』での再会と対をなす。
物語の終盤、トニーはピーターの成長を認め、クレジット後には正式加入を打診するが、ピーターは自ら断っている。
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09
ピーターを腕の中で失い、タイタンに取り残される。
ニュー・アベンジャーズ施設で、トニーはペッパーに指輪を差し出して求婚する。友人ハッピー・ホーガンが2008年から後生大事に預かっていた指輪だった。
直後、ドクター・ストレンジやピーター・パーカー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に惑星タイタンでサノスと対峙するが、ストレンジがタイム・ストーンとトニーの命を引き換えにしたことで計画は崩れる。サノスが指を鳴らし、宇宙の生命の半数が消滅する中、ピーターはトニーの腕の中で塵になって消える。ドラックスやマンティス、スター・ロードも同様に消滅し、タイタンに残ったのはトニーと、サノスの養女ネビュラだけだった。
FINALE
2023
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10
自らの命と引き換えに、宇宙の半分を取り戻す。
タイタンに残ったトニーとネビュラは、現地に残されていた宇宙船を修理して脱出し、地球へ向かう途中で燃料と酸素を使い果たす。消滅から約3週間後、漂流していた二人はキャプテン・マーベルに救出される。帰還したトニーは当初、仲間たちが持ちかけるタイムトラベル計画への協力を拒むが、やがて翻意する。物語の時点でトニーはすでにペッパーと結婚し、娘モーガンをもうけていた——結婚式も出産も劇中では描かれず、5年間の空白の中で起きた出来事として示されるのみである。
5年後、トニーは仲間と共に時間強奪作戦を実行する。本ページの冒頭で触れた1970年のキャンプ・リーハイ行きも、この作戦の一部だった。5年分歳を取っていないピーター・パーカーと再会したトニーは、かつてかわしたハグを今度はかわさず、正面から抱きしめる。
最終決戦でサノスは奪い返したインフィニティ・ストーンを手に「私は絶対なのだ」と告げ、指を鳴らそうとする。だがその時すでに、ストーンはトニー自身のナノテク・ガントレットに移されていた。
私が……アイアンマンだ。トニー・スタークが自らガントレットを弾いた瞬間の台詞(原語: "And I... am... Iron Man.")。2008年『アイアンマン』での即興の名乗りと、11年越しに呼応する
サノスの軍勢は塵となって消え、ガントレットが放った力の余波はトニーの右半身を焼く。崩れ落ちたトニーのもとに真っ先に駆けつけたペッパーは、ヘルメットを外してこう告げる。
トニー、私を見て。私たちは大丈夫だから。もう休んでいいのよ。ペッパー・ポッツの最後の言葉(原語: "Tony. Look at me. We're gonna be okay. You can rest now.")
ローディやピーターら仲間に見守られながら、トニーは息を引き取る。葬儀では、トニーが最初のアーク・リアクターに刻ませた文言「トニー・スタークに心臓がある証(原語: PROOF THAT TONY STARK HAS A HEART)」の入った箱を、ペッパーと娘モーガンが花輪に添えて湖に流す。
2008年公開の一作目で、洞窟から生還した技術者が即興で発した名乗りは、2019年公開の本作で同じ一言として結ばれる。劇中の時系列では1970年から2023年、公開の順では11年越しの呼応である。
WHAT'S NEXT
2026年12月18日、アベンジャーズ:ドゥームズデイ
トニー・スターク自身が『エンドゲーム』で命を落としたことに変わりはない。だが、演じてきたロバート・ダウニー・Jr本人は、『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でMCUに帰還する。役どころは、宿敵ヴィクター・フォン・ドゥームである。
2024年7月、サンディエゴ・コミコンの壇上でダウニーはドゥームのマスクを外し、自らの新たな役を明かした。マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギは、この起用がトニー・スタークの多元宇宙的な変奏ではないと明言しており、エンドゲームでのトニーの死を上書きしない前提でダウニーに直接この役を持ちかけたと語っている。トニーがドゥームとして生きているという読み方は、現時点ではファンの仮説の域を出ない。
2026年8月のD23では、ダウニーがクリス・エヴァンス、ヘイリー・アトウェルと共に登壇し、新規映像を公開した。トニーが去った物語の続きは、すでに動き出している。